Q:引き渡し日に設備が故障していました。どうなりますか?
不動産トラブル110番|契約不適合責任と正しい対応策を徹底解説 「念願のマイホームがついに引き渡し!」 ワクワクしながら家に入ったその瞬間──エアコンが動かない。 給湯器が故障してお湯が出ない。 こんなトラブルに直面すると、「これは誰の責任?」「修理費は誰が払うの?」「契約解除もできるの?」と不安になりますよね。 この記事では、引き渡し日に設備が故障していた場合の正しい対処法を、「契約不適合責任」「設備表の確認」「売主・買主の責任範囲」などの視点から、専門用語を噛み砕いて詳しく解説します。 結論:契約不適合責任が認められる可能性が高い まず結論から申し上げると、引き渡し時点で故障していた設備については、売主に「契約不適合責任」が発生する可能性が高いです。 つまり、修理・交換の対応を求めたり、損害賠償を請求できる余地があります。 ただし、いくつかの条件や例外もあるため、慎重に対応することが大切です。 契約不適合責任とは?【2020年の民法改正ポイント】 2020年4月の民法改正により、従来の「瑕疵担保責任」は廃止され、代わりに「契約不適合責任」が導入されました。 ◉ 契約不適合責任とは 売買契約において、物件が「契約内容と異なる状態」で引き渡された場合に、売主が責任を負う制度です。 たとえば以下のようなケースが該当します: 「給湯器は使える」と説明されていたのに故障していた 「照明やコンロは残す」と言われていたのに撤去されていた エアコンがあると説明されていたが実際にはなかった つまり、「買主が期待していた機能や状態」が契約に反映されており、その内容に適合していない状態なら、売主が対応すべきという考え方です。 判断のカギは「設備表」と「契約内容」 不動産売買では、契約書と合わせて「付帯設備表(または設備表)」が交付されます。 この書類には以下のような内容が記載されます: エアコン、給湯器、照明、温水洗浄便座などの有無 残すか、撤去するか 故障の有無、交換履歴などの状態 この設備表が契約の一部として機能するため、「表に記載されている設備が故障していた場合」は契約不適合に該当する可能性が高いのです。 設備の不具合を見つけたときの対応ステップ ステップ①:不具合の証拠を押さえる ・不具合の写真・動画(電源を入れても作動しない様子など) ・できれば日付入りの撮影、または新聞と一緒に写すなどして記録性を高める ステップ②:できるだけ早く売主・仲介業者に報告 原則として、引き渡し後1年以内であれば契約不適合責任を追及できますが、できるだけ早期に通知することが望ましいです。 ※1年を超えると「通知義務違反」として責任が消える可能性があります(民法566条) ステップ③:設備表・契約書を再確認 ・対象の設備が「引渡時に残す」となっているか ・故障歴が「なし」になっているか ・「現状有姿(げんじょうゆうし)」=現状のまま引き渡し、という免責条件がついていないか これらの点をチェックすることで、責任の所在が明確になります。 修理・交換・損害賠償|何が請求できる? 契約不適合責任が認められた場合、以下のような請求が可能です: 修補請求(修理・交換を求める) 例:給湯器の修理費用を売主に負担してもらう 代金減額請求 例:エアコンが使えない分、売買代金から一定額を返してもらう 損害賠償請求 例:給湯器が使えず、ホテルに宿泊した費用や生活用品購入費などの補填 契約解除(重大な場合) 通常は小さな設備不具合では解除までは至りませんが、生活に著しく支障をきたす重大な故障が複数発覚した場合には解除も視野に入ります。 売主が個人か業者かで責任の範囲が変わる ◉ 売主が宅建業者(プロ)の場合 責任期間は2年以上が義務(宅地建物取引業法第40条) 責任逃れのための「現状有姿免責」は無効となるケースが多い よって、故障した設備に対する責任が厳しく問われる傾向 ◉ 売主が個人(一般の方)の場合 契約書によって、責任期間を短縮(たとえば3ヶ月)しているケースがある 「現状有姿」での引き渡しの場合、責任を免れる可能性がある ただし、「明らかに説明と異なる」「意図的に故障を隠していた」場合は責任が認められることも よくある誤解とQ&A Q. 引き渡し後すぐ気づかず、1ヶ月後に発覚したらどうなりますか? A. 通知が1年以内であれば、原則として問題ありません。 ただし、「早期の報告」が望ましいため、気づいた時点で速やかに連絡を。 Q. 設備が古いので、故障は仕方ないのでは? A. 古くても、「契約時に正常稼働と説明されていた」「設備表に故障なしと記載されていた」なら、契約不適合責任が認められる可能性があります。 Q. 修理してしまったあとに請求できますか? A. 原則として、事前に売主の了承を得ておくことが望ましいです。 ただし、やむを得ない状況であれば、領収書などを保管しておけば、後日請求できる場合もあります。 実例紹介|京都市左京区の中古マンション購入トラブル 京都市左京区で中古マンションを購入されたC様。引き渡し直後にガス給湯器が作動せず、業者に見てもらったところ「内部部品の故障」と判明。 設備表には「故障なし」と明記されており、C様は仲介業者を通じて売主に修理を請求。結果、売主が修理費約9万円を負担し、トラブルは早期解決されました。 テライズホームからのアドバイス|引渡し後も安心のフォロー体制 テライズホームでは、物件の引き渡し直後のチェックリスト配布や設備確認サポートを実施しています。 また、トラブルが発生した際も「契約書の読み取り」「交渉文案の作成」「専門業者の手配」まで対応。 地域密着の強みを活かし、スムーズで誠実な対応をモットーにお客様をサポートしています。 まとめ|引き渡し後の設備故障もあきらめずに対応を 設備表や契約内容と異なる場合は、契約不適合責任が適用される可能性が高い 早期の報告、証拠の確保、契約書の確認が重要 修理・代金減額・損害賠償など柔軟な対応が可能 売主の属性(業者か個人か)によって責任範囲が異なる もしお困りの際は… 不動産売買後の設備トラブルは、誰にでも起こりうる問題です。 「どこまで責任を問えるか分からない」「話がこじれてしまった」とお悩みの方は、ぜひテライズホームにご相談ください。 経験豊富なスタッフが、的確なアドバイスと解決策をご提供いたします。